毛髪分析で測定されるミネラルの一般知識
ミネラルは体内で大事な働きをする沢山の酵素の活性中心となります。必要なミネラルが一定量以上あると、体内で酵素の働きがうまくいかず、様々なトラブルのもとになります。現代人は有害ミネラルの微量慢性中毒と、体内での過酸化の進行、必須微量栄養素の不足による多様な病気によって悩まされます。体内過酸化を抑える酵素のSODは亜鉛・銅・マンガン、GPOはセレニウム、カタラーゼは鉄により活性化されます。
[カルシウム]
カルシウムは基本的なミネラルで、骨や歯の形成や修復、神経や筋肉の働きに欠かせません。マグネシウムと拮抗しつつ強調して体液の酸・アルカリのバランスをとるほか、凝血や心臓の鼓動にも関与しています。
[マグネシウム]
マグネシウムは細胞内にあって、ナトリウムを細胞内から排出するのに必要なミネラルです。従って骨格筋・心筋・内蔵についている筋肉の働きや神経の伝達を鈍らせないために必要なミネラルです。マグネシウムが関係する酵素は、エネルギーを産み出したり、糖やアミノ酸の代謝に必要ですから、不足したらスタミナのつきようがありません。また、カルシウムとも強調して、体液の酸・アルカリのバランスが酸性側に傾かないように働いてくれます。
[ナトリウム]
ナトリウムは神経刺激の伝達、浸透圧のバランス、筋肉の収縮、栄養分の細胞膜通過に関与するなど、とても大事な働きをする主要ミネラルの一つです。主としてカリウムと拮抗しています。
[カリウム]
カリウムは主に細胞の内部で働き、ナトリウムと拮抗しながら、細胞内の水分の調節及び、酸・アルカリの調節しています。またカリウムは心臓、腎臓、筋肉・神経系統の働きをコントロールしているミネラルとしても知られています。
[銅]
銅はヘモグロビンと赤血球の形成に鉄と共に関与している他、コレステロール生成にも関与しています。銅の不足は心臓発作の可能性を早くから予見することで有名です。なお、髪と肌の色つやを悪くします。子供の場合、不足すると虚弱体質になりがちです。
[亜鉛]
亜鉛は多くの重要な酵素の中核として働いてくれます。亜鉛が不足すると正常な免疫反応は期待出来ませんし、傷もなかなか治りません。また、インシュリンの生産も不可欠ですし、ストレスに耐えられるかどうかも亜鉛の量が関係します。また、亜鉛が不足すると子供は何らかの発育障害が起こる可能性があります。
[鉄]
鉄は血液のヘモグロビンの中核ミネラルとして命にかかわる働きをしています。銅と強調関係にあり、蛋白質の代謝を促進する酵素反応にも関わっています。
不足するとストレスにも弱くなります。
[マンガン]
マンガンが不足すると体内のいくつかの重要な酵素の活動が不活性化してしまい、日常の活動に必要なコレステロールの合成や、蛋白質、糖質、脂質の代謝もうまくいかなくなります。また、骨格の形成にも不可欠ですし、性ホルモンの分泌や神経刺激の伝達にも十分なマンガンが必要です。
[クロム]
クロムは各種栄養成分の代謝に係わる酵素の中核ミネラルです。これが不足するとインシュリンが正常でも、糖尿病のもとになります。
[コバルト]
コバルトはビタミンB12の活性中心として利用されます。主として肝臓、腎臓、心臓などに貯えており、必要に応じて動員されます。不足すると貧血になります。
[リチウム]
リチウムは現在のところ必須ミネラルとは考えられてません。しかし、近年、躁鬱病の治療薬に使われています。これはリチウムがあると神経系の伝達能が良くなると考えられているです。しかし、過剰な投与は体によいとは思われません。
[モリブデン]
モリブデンは人体では主として酵素の活動に欠かせません。一つは肝臓に貯蔵されている鉄を必要に応じて動員する酵素、もう一つは脂質を体の中で燃焼させる酵素です。モリブデンは含硫アミノ酸の摂取が少ないと尿から出ていってしまいます。
[リン]
リンは体内に2番目に多いミネラルで、殆どの生化学反応に関与しています。リンが体内で有効に働くためにはカルシウムとのバランスが保たれることが必要です。エネルギーを産出する蛋白質・糖・脂肪の代謝に重要な役割を果たすとともに、骨格や歯の発育にも不可欠のミネラルです。
[セレニウム]
セレニウムはビタミンEと強調しあい、不飽和脂肪酸が過酸化脂質になって老化を促進させたり、ガンのもとになったりするのを防いでくれます。免疫機能の正常な働きにも必須のミネラルです。
[ケイ素]
ケイ素が不足すると動脈のトラブル、骨の変形、結合組織の異常がおこる可能性が高まります。食物繊維の多い植物を十分食べていればケイ素は自然に採れます。
[バナジウム]
パナジウムは骨、肺、脂肪組織に蓄えられます。コレストロール値や中性脂肪値が高い人がパナジウムを多くとると、それらが正常化するのに役立つ可能性があります。
[鉛]
髪の中に鉛が見つかるという事は、既に相当長期にわたって鉛が体の中に入り込んでいるという事が多いのです。現代は車の排気ガスなどであまりに多くの鉛が空気中にまき散らされてしまったので誰でもまったくゼロというわけにはいきませんが、出来るだけ少量であるにこしたことはありません。鉛は低レベルでも記憶障害など脳神経系に害があります。
[ヒ素]
ヒ素が体内に蓄積するといくつかの重要な酵素活動がうまくいかなくなります。有機ヒ素は腎臓からどんどん排出されますが、無機のヒ素は体内に蓄積されてしまい中毒原因となります。
[水銀]
水銀には天然のものも公害によるものもありますが、有機・無機、エチル・メチルを問わずいずれも有害です。農薬、殺虫剤、防カビ剤、電池、その他様々なものから土譲や水を汚染しています。水銀の害は主として脳・神経系統と筋肉にあらわれてきます。
[カドミウム]
カドミウムは公害物質の一つです。こらが体内に一定量多くなると、正常な代謝や酵素活動を狂わせ、脳・神経系や心臓・血管系がダメージを受けます。また、カルシウム代謝も異常になります。
[アルミニウム]
アルミニウムは水道水やアルミ食器、アルミホイルなどの他、食品や医薬品、化粧品などからも体内に入ってきます。普通は吸収されにくいのですが、体の中に入ってくると骨の形成を妨げて折れやすくするほか、脳に蓄積されるとアルツハイマー型老人ボケの原因になります。
[ニッケル]
ニッケルは消化管からは吸収されにくいのですが、皮膚・肺などから簡単に吸収されます。ニッケルが多くなってくるとDNAにも悪影響を及ぼすようになり、人によっては歯肉炎・口内炎・めまい・ガンを誘発する事があります。ニッケルはアレルギーを起こす人が多く、ニッケルメッキのものに触れただけで炎症をおこす人もいます。ピアス等にご注意下さい。
[ベリリウム]
ベリリウムはDNAの合成に必要な酵素活動ができないようにしてしまうミネラルです。食品でよりは肺から吸収されることが多いので、ベリリウム採鉱現場(銅山)金属加工業、油性ペンキ、放射能物質を扱う産業の人は時々チェックして下さい。
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